「自分の中に生きている子供のために」
「自分という樹の幹の中に、とても太く子どもの部分を残している人。
、、、、
それを自分の中に抱え続ける人が、本物の子どもの本を書けるんだと思う。
梨木香歩さんのヤービを読んで
この石井桃子さんのことばを思い出した。
マットガイドウォーター(湖)にある
フリースクールで先生をしている
私(ウタドリ先生)と、水辺のある森で暮らす小さな生きものヤービとの出逢いからはじまる
物語り。
ヤービの目に映る森や、
ウタドリ先生が感じる自然の神秘に、
筆者の自然に対する瑞々しい感性と
視点がそこかしこに
散りばめられていて、
本を開くと
ヤービと一緒に森の中に入っていく気がする。
自然の中に身をおいて静かに五感をめぐらせば
様々な生きものの気配が発信され、受信されながら
互いに共鳴しながら流れていることを
フッと感じとれるかもしれません。
そのひとときの
大切さを思い出させてくれる物語りです。
◯福音館書店発刊