鎌倉に住む文筆家、甘糟幸子さんのエッセイ。
鎌倉の野山で草花に親しみ、野草を摘んで料理する甘糟さん。
「花と草木の歳時記」が、2017年復刊されたが、
こちらの「野の食卓」もぜひとも復刊を願う
素晴らしい一冊です。
数々の美味しそうな山菜料理はもちろんのこと、
野に身を置く甘糟さんの瑞々しい文章は
心を潤してくれます。
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山を歩くときに、野の草を知るのは楽しいものです。
〜略〜
歩きだして、しばらくすると足は歩き慣れて、歩きにリズムがついてくるものです。
私の足は、ヒタヒタとどこまでも歩きたくなり、
歩いていくうちに、大昔の人間はこんな風に感じていたのかしら、というように、
土や樹木と一緒に呼吸しはじめるのです。
山の中で木の葉の間を渡ってくる風にあたるのは
楽しいものですが、今は歩いている自分が風を起こしているような気がしてきます。
こんなときには、
私は別な場所に歩いているのではなく、
日常生活とは別な時間の中へと
歩いているのではないか、と
思えるのです。
〜「歩く旅・歩く時間」より抜粋
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甘糟幸子さんの本にはじめて出逢ったのは、
鎌倉の老舗古書店でした。
甘糟さんの著名入りの一冊は
わたしの宝物です。
◯カバーは美品。本体はヤケがありますが、
古書を楽しむ方であれば良好美品と感じられる
と思います。