日本の児童文学の礎を築いてきた、
石井桃子さんのエッセイ集。
私がはじめて、
石井桃子さんのことばに出逢った一冊です。
町の本屋さんで、ふと何気なく手にとって帰り
出かける時など電車の中で読んでいました。
戦後、本を作る世界から離れ
仲間と山村に移り住み、開墾し農場を作る日々。
再び、子どもたちのために本を作り始める話し。
都会と農場のふたつの生活の場所。
飼っている、犬や猫たちのこと。
日々の暮らしでのささやかな気づき。
そんな中のエッセイのひとつを
確か電車に揺られながら読んでいた時だと
思います。
心の中に泉のようなものがあるなら、
そこへ何の抵抗もなく
不思議なほど静かに
石井桃子さんのことばが
お天気雨のように、降り注ぎ、
沁みわたっていったような感覚を
今も覚えています。
今も、時折
このエッセイを開き、
そのたびに力をもらえるような気がしています。
以下は文庫本後半に添えられた
小林聡美さんの解説です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜略〜
かずかずの児童文学を世に送り出した
石井桃子さんは、
まっすぐで透明で謙虚で明るいまなざしで
世の中を見ている。
そして「自分はひとりぼっちでいるほうが、
いい人間になれる」と自分の歩みを大事にする。
〜略〜
そんな静かなまなざしは、
私たちをいつも安心させてくれる。
〜解説「石井桃子のまなざし」より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯河出文庫
◯河出文庫書房新社発行