他の本にも書いた気がするが、
このエッセイもとても好きな一冊です。
店主の独断と偏見のもと
文庫の方が装丁がいいと思ったものは
文庫を仕入れています。
この、文庫版あとがきがとても良いのです。
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〜略〜
野山を歩いていても思うのだが、
より速度を落として歩いた方が、
世界の「厚み」を実感できる気がする。
落ち葉の葉の陰に隠れたうつくしい茸を見つけたり、、、略、
そういうことは急ぎ足では見落としがちになる。
自転車でもだめだ。
いわんや車をや。
〜略〜
ときにその場に立ち止まり、じっと五感を
めぐらし、そのめぐらした関係性の構造のようなものがグジャグジャにならないよう、
ゆっくりした動きでその場から歩を進める。
〜略〜
私が好きなカヤックもそういうものだ。
〜文庫版あとがきより抜粋〜
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あとがきをいきなり紹介するのも
どうかと思ったが、
そんな風に梨木さんが
湖や川をカヤックで
めぐる旅を綴った一冊です。
水辺に浮かぶ感覚。
陸に立っていたのでは
わからないこの水の上を漂うという時間。
読んでいくうちに
ともに水面を旅し、
水辺と近くなっていくようです。
◯ちくま文庫◯筑摩書房発行