数ある梨木香歩さんのエッセイの中でも、
とても好きな一冊。
梨木さんの本は単行本か文庫か。という
選択があると思いますが、
この本は文庫の装丁がわたしは好きです。
くらしに身近な草花からはじまるエッセイが
多いのがこの本の特徴です。
足元に咲く小さな世界から
自分の中にある、羅針盤が呼応する感覚。
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けれど彼女はそのたび新しい場所で
けなげに茎を上げ、葉を起こしてきた。
〜略〜
積み重ねてきた努力が水泡に帰するような結果になっても、またその場から生き抜くための一歩を踏み出す。
いつだって、生きていくことにためらいがないのだ。
彼女が新しい場所で根付く様子は
私に良いエネルギーを与えてきた。
失ったものに思いを残さず、
ぼろぼろになってさえ、
いつもここからがスタートライン、という生き方。
〜たおやかで、へこたれないより抜粋
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これは、
梨木さんが引っ越しのたびに、
一緒に
連れてきたクリスマス・ローズのはなし。
他には、
菫、竹林、貝母、野生のアスパラ、葱、、、
などから
はじまる話したち。
あと、ご隠居さんのお茶と昼酒の章もとてもよい。
一章、一章つけられたタイトルに漂う気配。
いいお話しがはじまるような予感が、
ページをめくるたびに、
実感になっていくエッセイでした。
◯新潮社発行