可愛らしい表紙から、よくある暦の言葉の
本かな。と最初は手に取りました。
美しい暦のことばや、
月にまつわることば。など。
ぱらぱらと見ていると、
その暦のことばを用いた詩や、
俳句が紹介されている。
その言葉にちなんだ
詩や俳句が
不意打ちに美しく現れて、立ち止まらせる。
その読者にことば、詩や俳句と出逢わせる
センスは
この本を編んだ白井明大さんの力だと思う。
私は「ありがとう」ということばに添えられた
美しい詩に出逢った。
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遠い峯は風のやうにゆらいでいる
ふもとの果樹園は真白に開花していた
冬のままの山肌は
朝毎に絹を広げたやうに美しい
私の瞳の中を音をたてて水が流れる
ありがたうございます と
私は見えないものに向かって拝みたい
〜佐川ちか「山脈」より
・
・
・
この後に続く白井さんの文もとても良いので
抜粋する。
〜自然の懐に抱かれるというのは、
やさしさに包まれることとは違うのだろう。
大いなるものを感じ、
おのずから「ありがとうございます」と
拝みたくなる。
そのような心持ちになって初めて、
山肌や、水の流れ、鳥の声、
花や木陰や草たちが、
ありありと感じられる。
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美しい日本のことばと、
名句、詩にはっとする出逢いが
あちらこちらに隠されています。
日本語っていいなあ、
と思える
おすすめの一冊です。
◯草思社発行