「火を焚きなさい」2018年刊行の、
翌年に刊行された本書。
前巻に含まれている詩も
織り交ぜつつ、
全体はタイトルにある「五月の風」のように、
野山、海辺に吹いてくる青い匂いの風が
心に吹いてくるような一冊。
若松英輔さんが、後半の解説に綴る
「 20代の頃に感じていた
カウンター・カルチャーに時たま匂う
違和感。否定はせずとも距離をとっていた。」
〜解説より抜粋
この若松さんの感覚は
子どもの世代にあたる、
今の私にも共感する部分がありました。
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・
時をへて若松さんは、
生誕80年を記念して発刊された
『火を焚きなさい』を手に取ります。
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〜造本に
妙に惹きつけられ、躊躇しつつも
数行の言葉を読んだ。
それだけでも、
数年来の偏見を吹き飛ばすのに
十分なちからがあった。
ー略ー
そこには、私が感じていたコミューンへの偏見を助長するような表現はまったくなかった。
むしろ、著述家となった山尾は、
いたずらにコミューンを作ることを否む。
コミューンは作るものでは無く、生まれるもの。
そのもっとも原始的なものこそ家族にほかならないことに山尾は気がつく。〜解説より抜粋
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最後にそえられた、妻・山尾春美さんのことばとともに、三省さんの朗読が聞けるようになっている。(QRコードを読み込むと、
朗読が聞けるようになっている)
屋久島の町内放送で流されたという、三省さんの
朗読や話しは大袈裟に民意をあおるようなものでは決してなく、
縁側でおじいさんの昔話しを聞くような
柔らかくあたたかい声。
それは土の上で生きることを決め、
生きてきた人の温かい声でした。
◯野草社発行/新泉社発売