初刊から25年を経て、発刊された単行本。
新たに、「ブラッキーの話」「冬の午後」、書き下ろし「かまどに小枝を」の3篇が収録されています。とりわけマイのおばあちゃんのモノローグ、「かまどに小枝を」はとても優しいお話しです。
あの時書気出せなかった、おばあちゃんの目線を
今なら書けると筆をとった一章。
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ただシンプルに素朴に、真摯に生きる、
ということが、かつてこれほど難しかった時代があっただろうか。
〜略
25年前、自分と、自分に似た資質の女性以外の、
誰にとって価値があるのだろうと、
おどおどと見つめていたこの本を、
まいの祖母の年齢に近づいた今、
もう一度静かに送り出したい。
〜略〜
私たちは、大きな声を持たずとも、
小さな声で語り合い、伝えていくことができる。
そのことをささやいておいで。
〜あとがきより抜粋〜
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私も初めてこの小説を読んだのはもう何年も前。
この本をもう一度手に取った時、
感じる自分も変化していることに気づきます。
作家と読者と共に年を重ねていく「本」という
物体のもつ美しい力を感じました。
◯新潮社発行